大学入学共通テストと民間英語資格試験活用

赤い菊

先月号で大学入試改革の全体像について触れましたが、今回は英語における改革について取り上げます。今回の大学入試改革が、グローバル人材の育成に主眼を置いたものであることから、英語改革のウェイトは当然のことながら大きなものになります。

現行のセンター試験は「読む」「聞く」の2技能評価であるとされ、新しいテストでは「書く」「話す」を加えた4技能を評価する方向で検討されてきました。しかしながら、手間や時間のかかる4技能を測る試験を従来のようなセンター試験の会場で同日に行うことは、受験生にとって負担が非常に大きく、実施する側にとっても準備は至難の業です。そこで、すでに4技能評価を行っている民間の資格・検定試験を活用することとなりました。

2020年度から2023年度までは大学入試センターが作問し共通テストとして実施する試験と、民間の資格・検定試験の両方が用意され、各大学はいずれかまたは双方を利用できます。このうち、大学入試センターが作問する英語の試験については、現行の「筆記」は「筆記(リーディング)」に改められます。試験時間は「筆記(リーディング)」80分、「リスニング」60分(うち解答時間30分)と変更ありません。

民間の資格・検定試験については、2018年3月末に、2020年度に実施される最初の共通テストで活用される7団体24の資格・検定試験が決まりました。(大学入試センター資料より)

◇ケンブリッジ英語検定 A2 Key, A2 Key for Schools, B1 Preliminary, B1 Preliminary for schools,

B2 First, B2 First for schools, C1 Advanced, C2 Proficiency

◇TOEFL iBT 

◇IELTS (IDP:IELTS Australia実施)  ◇IELTS(ブリティッシュ・カウンシル実施)

◇TOEIC® L&RおよびS&W

◇GTEC Advanced, Basic, Core, CBT

◇TEAP    ◇TEAP CBT

◇実用英語技能検定 3級, 準2級, 2級,   準1級,   1級

 これらの資格・検定試験を利用する受検者は、高校3年生以降の4月~12月の間に受検した2回までの資格・検定試験の結果が大学に提供されます。成績結果は、受検生が資格・検定試験受検の際に、大学入試センターから予め個人ごとに発行されたIDを記載することにより、試験実施主体から大学入試センターへと成績が送付され、さらに大学入試センターから大学へと提供される仕組みです。提供される成績は、各試験のスコア(バンド表示も含む)とCEFRの段階別表示、合否(合否がある場合)が基本となります。

ただし、この英語資格試験の利用方法は大学により異なります。例えば、出願資格として一定のスコアを求める大学もあれば、合否判定の一部としてスコアを利用する大学もあります。また、一定以上のスコアを持っていれば、大学で課す英語の試験を満点として扱い、受験を免除するといったケースもあります。そしてさらに、対象となる英語資格試験やそのスコアも異なります。

英語の資格・検定試験および記述式問題の成績の活用方法については、受験生が混乱しないようにと、国立大共通のガイドラインが定められています。

・公平性の観点から大学入試センターが定めた参加要件を満たした全ての資格・検定試験を対象とする

・各大学・学部等の方針に基づき、次の方法のいずれか、または双方を組み合わせての活用を基本とする

 ①一定水準以上の認定試験の結果を出願資格とする

 ②CEFRによる対照表に基づき、共通テストの英語の得点に加点する

※出願資格の水準、加点する点数等の具体的な設定は、各大学・学部等が主体的に定める。

受験生はこれまで以上に早めに志望校の情報をつかみ、計画的に準備を行う必要がありそうです。

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