2025.02.01
やればわかる!
塾生の親御さんが、入塾後しばらくたってよくおっしゃるのは、「学校の問題が簡単に見えるようになったようです」という言葉です。小学生の場合、学校では各単元の学習後すぐにテストをするケースが多く、また実際に少し易しい問題が多いので、高得点を取りやすいという面があります。ですから、学校でいつも100点近くが取れているからといって、本当の意味で学力が定着しているとは言い切れないわけです。
学校では仕組みの理解に重点が置かれていて、新しい単元の導入の段階ではじっくりと授業が進みます。一方、学習塾では生徒を預かる時間に制約があることから、効率よく理解させ、学力として定着させることが求められます。学習塾の現場に立つ私たちが学校の授業を参観すると、何とまどろっこしいことをやっているのだろうと感じることさえあります。実は生徒たちの中にも、授業の意図がよくわからないまま授業を受けている場合も少なくありません。問題となるのは、定着するための演習がどれだけできるかです。いくら仕組みを理解したつもりでも、問題が解けなければ授業の目的を達成したことにはなりません。
また近年は、学校で覚え込む要素や覚えたことを確認するようなテストが減ってきているように感じます。学年が進んでいくと、それまでの学習内容について理解していることを前提に学習が進むことが多くなるわけですが、たとえば社会科の地理で、国内のさまざまな地方についてどんな産業が盛んであるのかを学ぶとき、その地方の地形や気候、資源などの背景と関連付けて考えていかなければ、有機的な理解として残っていきません。しかしながら、都道府県の名前や位置もおぼつかないなど、考えるための基盤がない状況では、丸覚えでしか対処できません。丸暗記だけの勉強ほど、面白くないものはありません。自分の中にある知識とつながってくることで「なるほど、だからそうなるのか」というように納得することで勉強が面白くなり、学んだことが広がりを持って理解されていくのです。そのように後々応用させて学習していくためには、基礎的知識をしっかりと覚え込むことも重要なのです。
このような現在の学力の状況を客観的に診断する上で指針となるのが、塾で行っている学力テスト(模擬試験)です。実施の前には出題範囲をある程度復習しますが、学習してしばらく時間が経過している単元も多いので、本当の意味で理解しているかどうかがわかります。学校の定期試験では、出題範囲が明示されていますから、場合によっては丸覚えで切り抜けることができますが、受験ともなるとそうは問屋が卸してくれません。そもそもよく理解しているようなことでも、時間が経つと人間の記憶は薄れてしまうものです。そのような意味で、夏休み・冬休み・春休みに行う講習で、反復復習して理解を深めて定着させることが、とりわけ重要になるわけです。
わが塾では1月に受験クラスを除く小中学生の全クラスで学力テストを行いました。毎度のことですが、「よくできた」と達成感を持てる生徒もいれば、「思ったほどできなかった」と残念がる生徒もいます。生徒たちにとって、出来があまりかんばしくなかった教科は、あまり直視したくないという心理がはたらくのも無理はありませんが、やはりテストをやりっ放しにするのでは進歩がありません。間違えた問題の解き直しや復習をすれば、次に同じような問題に出会った時には『できる問題』に変わっているのですから、やらないという手はありません。一番避けたいのは、「どうせできないんだ」と、あきらめてしまう態度です。この姿勢が続くと、テストをやる前から「どうせやってもできないだろう」という『負け犬根性』がしみついてしまいます。「この教科は嫌いだ」と苦手意識を持って食わず嫌いになってしまうのもよくありません。「だって…」と言い訳をしてみたところで、自分のプラスになるものは何もないのですから。
何事においても、人によって得意・不得意があったり、修得する速度にちがいがあったりするのはごく自然なことです。しかし、人は誰でも色々な能力を身につけて、それを伸ばしてさまざまなことができる人間になる可能性を持っています。現金なもので、わからなかった所がわかり始めると勉強が楽しくなってきます。昨日まで楽しくなかったのは、よくわからなかっただけなのです。だからわかるまで少し努力してみたり、よく覚えていないことをきっちり覚えきるまで頑張ってみるのです。楽しくできるようなちょっとした工夫も必要かもしれません。そんな小さなステップを重ねることが大切なのです。もちろん、わからないところは学校の先生や私たちを頼りにしてください。まずは歩みを一歩前に進めてみましょう。「やればわかる!」です。みなさんの将来の可能性を大きく育ててほしいと願っています。