沖田学習ゼミナーの教育コラム『おんざうぇい』

  • おんざうぇい2022年1月


  • 2022.01.05

  • 黄色い花遊び

    年末、帰省してきた息子たちと少しでも運動不足解消になればと、キャッチボールをしに近所の公園を訪ねてびっくり! 子どもが一人もいません。たしかに雪まじりの寒風の吹きすさぶ日ではありましたが…。子どもたちの邪魔にならない端っこで遊ばせてもらおうと考えていたのも杞憂でした。

    かつて冬休みともなれば、昼間の公園から子どもたちの元気な声が絶えることなどありませんでした。“子どもは風の子”子どもの仕事と言えばもっぱら外へ出て遊ぶことでした。誰彼となく公園に集まり、自分たちのやりたいことをして遊んでいました。そこに集まるのは、リーダーシップを発揮する者、文句を言う者、おとなしく従う者、などなど十人十色。みんなで意見を出し合い、子どもたちなりに折り合いをつけながらルールを決めて遊ぶのです。子どもは残酷にもストレートに思うことを言いますから、ケンカやいじめも起こります。しかしながら、それをいさめる者もいますから一方的にエスカレートすることも無く、子どもの世界でおたがい付き合い方を心得ていくものでした。他愛もない外遊びが、運動感覚を磨くだけでなく、知らず知らずのうちにコミュニケーション能力や社会性を育む場でもあったというのは、疑う余地のないことでしょう。今や子どもたちは室内で遊ぶことが普通になってしまったのでしょうか。そうだとすれば何ともったいないことでしょう。

     

     

    体力テスト得点推移

    スポーツ庁は12月末、小学5年生と中学2年生全員が対象の2021年度全国体力テストの結果を公表しました。持久走や上体起こしなど実技8種目を点数化した体力合計点は、小中の男女とも前回2019年度調査より下がり、体力低下は鮮明なものとなりました。男子は小中学生ともに過去最低を記録しました。

    この結果についてスポーツ庁は、コロナ禍で学校での活動が制限され、児童生徒の運動時間が減少したためであると分析しています。また、スマートフォンなど携帯端末やゲーム機を利用する時間が増加し、肥満割合が高まったことも拍車をかけた要因として挙げています。

    では、子どもたちは室内でどんなことをして遊んでいるのでしょうか。子どもたちと話していて聞こえてくることを総合すると、ゲーム(テレビ―ゲーム・携帯ゲーム)、ユーチューブ視聴、友達とのメールなどSNS、ビデオ視聴(サブスクリプション)、…などが上位に並びそうです。デジタル機器に頼るものばかりで、我々が子どもの頃には存在しないものばかりです(苦笑)。ゲームでは、オンラインで顔も知らない誰かと対戦することもあるようです。しかし、無料だと勘違いして有料アイテムを購入してしまい、後で高額な料金が請求される事例や、利用者同士のアイテムの売買や交換によるトラブルが発生したり、詐欺行為に巻きこまれたり、ウィルスに感染したりするなどの被害もあるようですから、注意が必要です。

    そんな心配など無縁のところで遊んでいた私たちは幸せだったのかもしれません。いつも遊ぶ相手は目の前にいました。将棋、チェス、オセロ、双六、かるた(百人一首)、トランプ、ボードゲーム…。特にお正月といえばトランプ! 簡単な加減乗除の計算が必要なゲームが多く、楽しみながらいつの間にか計算能力を鍛えられた面が少なからずありそうです。これらの遊びは参加者の性格や特徴が大きく反映され、相手に応じて戦術も変化するものです。子どもの頃のそんな生身の人を相手に楽しく遊びに興じたひと時が、今では甘美な思い出となっていることに気付かされます。

    「遊び」をここまで進化させてきたのは人間ならではのことです。オランダの歴史家ヨハン・ホイジンガは人間を「ホモ・ルーデンス」(遊ぶひと、遊戯人)と呼び、遊びこそが他の動物と人間とを分かつものであり、政治、法律、宗教、学問、スポーツなど、人間の文化はすべて遊びの精神から生まれたと言ったそうです。また、フランスの思想家ロジェ・カイヨワは、遊びの要素として「競争」、「偶然」、「摸倣」、「眩暈(めまい)」を挙げ、それらが複合的に進化したものが学問や政治になったと述べています。

    前述のように、子どもの成長過程において、遊びは運動能力や知的能力の獲得のみならず、競争心、公平性、謙虚な態度や協調性といった社会性の発達に重要な役割があるわけです。そして先人たちの言葉を借りるならば、遊びこそが文明を作り出し、また進化させてきた原動力であるわけです。

    学習においても遊びの要素は重要です。前述のホイジンガは「遊びとは、自由で、自発的なもので、それ自体を目的とした活動であって、喜びをともなうもの」であると述べています。とすれば、学習を自由に自発的に取り組み、喜びを感じながら進めていくことができるならば、「学習」=「遊び」となり得るかもしれません。受験シーズン真っ只中のこの時期、工夫しながら意欲的に学習に取り組むことによってたくさんの収穫をし、自信を深めている生徒の姿をしばしば見受けます。何事も取り組み方次第で楽しいものにも辛いものにもなります。生徒の皆さんが楽しく学習に取り組めるような環境づくりに、今年も誠心誠意力を注いでまいります。

    名古屋栄町


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