宿題
中学1年生の英語の授業でのことです。毎回授業は、宿題の答え合わせから始まります。ふと見ると、宿題をやっていない生徒が目につきます。「立ちなさい!」すると他にも3人ぞろぞろと立ち上がります。男子ばかりです。なぜやっていないのかたずねてみると、「宿題を書いたメモをなくしてしまって…」などという言い訳。要は「やらなければならない」という意識の問題なのですが。くだんの生徒4人には授業後居残りをしてもらい、その日学習した内容についていくつか英作文をさせたところ、その日新しく学習したことの理解が不十分であること以外に、《文頭を大文字で書き始める》《文中では小文字で書く》《単語と単語の間を1文字分程度空ける》《文末にピリオドを書く》などといった、これまでに学習した英文の基本的なルールが習得できていないことがボロボロと露呈してしまいます(泣)。そりゃそうです。授業は1週間前にあり、今日の授業までに反復することがないわけですから、定着するわけはありません。
この時期の中1英語の学習単元は、be動詞の肯定文・否定文・疑問文などです。学校より少し早く進んでいますから、学校で困ることはなく、「自分は分かっている」という心の緩みがあるのかもしれません。
宿題をしていない生徒は、答え合わせの時、答えを書くことに一生懸命です。おのずと板書にも視線を向けにくくなります。必ず一問ずつ英文を全員で復唱していきますが、これもおろそかになります。英文を自分の目で追いながら、発音するチャンスを自ら失うことにもなり、悪循環です。
宿題というのは、「授業で先生があんなこと言っていたな」「ここで注意しなくちゃいけないんだ」などと反芻しながら、理解を深める作業です。分かっていないことにぶつかれば、授業で学習したところをめくり返して確かめ、意味や発音のわからない単語に出会えば、辞書や単語集で調べて自分のものにするのも当然のことです。英単語の覚え方をマスターすることも、この時期の重要課題です。単語テスト以外でも新しい単語を積極的に覚える努力ができるかどうかが、大きな学力差につながります。そのようにして自分一人で考えてきたことを披露したり、確認したり、自信を深めたりするのが、答え合わせの場になるわけです。
そして英語の学習においては、家庭での音読練習も習慣付けて欲しいことです。意味を理解した上で、それをイメージしながら、英文をリズムよく音読できるようになることが、英語に馴染むための第一歩です。英文の意味がわかって、スラスラ読めるのに、英語が出来ないという生徒などいません。音声CD等を活用して、シャドウイング・オーバーラッピング・センテンスリピートなどができれば、さらに上達がやさしくなります。現在の中学生はどの学年も、新しい制度での大学入試に臨む世代です。目下の英語学習のキーワードは「4技能(読む・書く・聞く・話す)習得」です。理解するだけの英語ではなく、使える英語を身に付けることが課題になっているのです。中学1年生にとっては教科学習として初めての科目でもあるだけに、すべり出しが肝心です。
英語について例をあげて話をすすめてまいりましたが、他の教科でも、どの学年においても同様に宿題や家庭学習が重要です。学校や塾の授業と家庭学習がリンクして初めて揺るぎない真の学力になります。中学・高校ではもうすぐ中間考査。しっかり準備して、実力を発揮して欲しいものです。