
知っておきたい
「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らずと言えり」で始まるのが、言わずと知れた福沢諭吉の「学問のすすめ」です。この書き出しは、以下のように続きます。「されど今広くこの人間世界を見渡すに、かしこき人あり、貧しきもあり、富めるもあり、貴人もあり、下人もありて、その有様、雲と泥との相違あるに似たるは何ぞや」 諭吉は、現実には人間社会には大きな格差があるわけだが、その差はどうして生まれるのか、賢い人と愚かな人とは何が違うのかという理由について述べています。「学ぶと学ばざるとにより出来るものなり」つまり「人は平等に生まれてはくるけれど、学問をするかどうかで大きな差が出るのだ」と言ったのです。
今からおよそ150年前の日本では、学問は一部の特権階級だけのものと思われていましたが、彼はそんな考えを否定しました。身分や家柄など関係なく、誰もが学ぶ権利があると強く主張したのです。知識を得ることで、人は自分の力で生きられるようになり、物ごとをよりよく判断できるようになる。一人ひとりが自立することで、社会全体も強くなり、健全に発展していくと考えたのでした。
福沢諭吉の考えは徐々に浸透していきました。そしてさまざまな産業が発展をとげた日本は、そこからいくつもの戦争を経験した後、高度経済成長を経て、経済大国とよばれるまでに発展しました。その中で学歴社会とよばれるシステムが作り上げられました。
では「学歴社会」とは何なのでしょうか。簡単に言えば「卒業した学校によって人を評価する社会」です。
特に大手企業は採用時に、多数の応募者を「学歴フィルター」によってある程度選別するケースが多いという実情があります。入社試験やSPI(総合適正検査)などだけで判定するよりも、一定の学習能力や忍耐力があることを客観的に判定できるというのがその根拠です。
その一方で、学歴よりもスキルや実務経験が重視され、高学歴が必ずしも有利にはならない場合も多くあります。終身雇用制が維持されなくなりつつある現在、キャリアアップを求めて転職したり、人材の流動化が進む中では、青年期の学歴よりも個人の能力と経験が評価対象になる傾向も高まっています。
社会に出ると感じるのは、幅広い領域の能力よりも、特定の領域に特化して力を発揮することが重要ではないかということです。しかしながら、スペシャリストとして生きていくことができる場合をのぞいて、長い社会人としての人生、様々な部署に異動したり、管理者としての立場になりいろいろな業務にたずさわらなければならなくなるというのも事実です。会社組織というのは様々な業務が組み合わさって成り立っているわけで、入ったらどんな仕事をすることになるかはわからないものです。転職して異なる業界で働くこともめずらしくない時代です。不確定な将来を生きていくためには、一つのことに長けた能力もさることながら、柔軟に物事に対処できる総合的な能力も重要です。

塾に通う生徒たちにとって、社会人になるのはまだまだ先のお話です。時に「なぜ勉強しなければならないのか?」という疑問を持つこともあるかもしれません。「こんな難しい数学の問題を解けることが、将来役立つのだろうか」と思うかもしれません。実際それが将来役立つかもしれませんし、役立つことはないのかもしれません。でも、今やっていることの延長線上に自分の将来があるというのは間違いないことです。たとえば勉強して学力を高めていくことで難関大学に入ること、数学や理科の学力をつけて理工系大学に進みエンジニアになること、国語力・論理力を磨いてプレゼンテーション能力を身につけること、経済や統計に強くなってMBA(経営学修士)を取ること、憲法や法律を勉強して司法試験に合格して弁護士になること、英語を究めてグローバル企業で働くこと…世の中には様々な職業があるわけですから、勉強することがそれぞれの仕事につながっていきます。
このように勉強は職業人としての資質や基盤を作るために直接的に役立つわけですが、それだけではありません。学生時代に体験した学習方法は、将来の勉強にも活用できます。「このような分野はこうしたらマスターできる」というのは、将来にわたる財産になります。社会に出たら、勉強の仕方など誰も教えてくれないのですから。努力の仕方を学ぶトレーニングでもあるのです。
さりとて、勉強だけが社会で生きていく糧となるわけではありません。他の人を思いやり協調して行動したり、異なるものを尊重したりするような豊かな人間性も必要ですし、健康な体を維持し、意欲や気力といった精神面を充実させることも大切です。つまり「知」・「徳」・「体」のバランスのとれた力をつけていくことが求められているのです。これらの力が文部科学省のいう「生きる力」です。様々な力を身につけるため、欲を持って色々なことに取り組むことが願われます。
さて、令和7年度全国学力・学習状況調査(4月17日実施)の結果が7月に公表されました。
| 行政区 | 小学6年生 | 中学3年生 | ||||
| 国語 | 算数 | 理科 | 国語 | 数学 | 理科 | |
| 全国 | 66.8 | 58.0 | 57.1 | 54.3 | 48.3 | 503.0 |
| 広島県 | 69 | 59 | 59 | 52 | 47 | 495 |
| 広島市 | 69 | 59 | 59 | 54 | 47 | 485~494 |
| 呉市 | 70 | 59 | 60 | 55 | 48 | 485~494 |
| 福山市 | 67 | 57 | 57 | 52 | 45 | 475~484 |
| 尾道市 | 68 | 57 | 57 | 54 | 49 | 485~494 |
地元福山市は残念な結果となりました。近年の成績低迷の背景に家庭での学習時間の短さやゲームの長時間使用などが挙げられているとのこと。福山市教育委員会は、これまで子どもの主体性を過度に尊重し、学力定着・向上のための取り組みが不十分であったとの認識を示し、教育振興基本計画を改定する方針です。









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