2016年度は中学校の教科書が改訂されます。
今回の改訂は学習指導要領の改訂を伴わない比較的小さなものになりますが、どの教科もボリュームアップしています。
では、どのような点が強化・増量されるかですが、

 

①思考力・判断力・表現力といった活用する力を養う問題、
②「アクティブ・ラーニング」(教員による一方向的な講義形式の教育とは異なる、学習者の能動的な学修への参加を取り入れた学習法の総称)、
③知識理解の定着のための自学自習・自立学習、
④小・中・高連携(振り返り・見渡し)、
⑤教科横断・合教科型問題、
⑥英語における4技能(読む・書く・聞く・話す)習得への取り組み、
⑦自己診断評価…などです。

 

②のアクティブ・ラーニングは、先月号でもふれたように、さまざまところで取り入れられていて、繰り返し聞かれるキーワードになっています。⑤の教科横断・合教科型問題や⑥の英語4技能習得というのは、4年前の大改以降に大学入試改革が打ち出され、その変革の方向に沿った変化だといえます。主要5教科の教科書総ページ数でみると、前回のものより約7%の増量でわずかのようにも思えますが、「ゆとり世代」といわれる2002~2005年のものに比べると、約59%もの大増量となります。すべてを学校でカバーすることは不可能ですので、③の自学自習・自立学習や⑦の自己診断評価が必要になってくるわけです。この点については前回の大改訂からの方針でもあり、過去には「平等」を常に意識していた義務教育の世界でも、自己責任の時代に突入しているということです。学力格差がさらに拡大することが懸念されます。

 
このような状況のもと、私たち学習塾の役割もいっそうましてきます。まず、基礎的知識や技能の定着が不可欠です。それには授業での細やかな対応だけでなく、宿題管理の徹底や個別補習をもっと活用し、子どもたちの学習ペースをしっかり保つこと、その上で自ら学び考えようとする意欲を喚起することが重要です。

 
わからないことに出会ったとき、その場で立ち止まって次の行動を起こせなければ、何もわからないままです。そのような人は自分ができない原因を自分の外にもとめがちです。一方「できる人」は、困難を解決するための行動を常に惜しみません。自分だけで解決できないときは、周りの人の助けもあるでしょう。「わかる」ことは単純にうれしいことです。その気持ちが自分にも「できる!」という自信になり、「やろう!」という意欲になって次の行動へとつながっていくものです。そんな良い循環に自分をのせることができれば、勉強はとても楽しいものになります。私たちは「知の感動」を伝えると同時に、やる気を引き出すモチベータ―として、子どもたちのそばに寄り添ってまいります。