8月白い花横ポジティブのすすめ

授業中に問題を解かせ、答えを聞こうとしてある生徒を指名したときのことです。「わかりません」あっさりとかわされてしまうではありませんか。見開きのすぐ隣のページを見ればすぐにわかるような問題なのですが…「どうも今日はやる気が出ないようだな(汗)」生徒の名誉のためにも申しますが、いつもそのような態度であるわけではありません。むしろやる気全開の時も少なくないのですが(苦笑)、体調もあるのかもしれませんが、同じ人間なのに『やる気モード』の時とそうでない時の差が大きい生徒がいます。

たしかに誰しもやる気がなかなか出ない時というのはあるものです。ただ誠実に取り組もうとする姿勢は大切です。学生時代には許されることも、社会人ともなれば「気が乗らないから」では許されません。でも、本当にやる気をなくしてしまっているのであれば、根本的なところからの治療が必要です。

多くの人は「やらなければならない」と思うことを、心の中にたくさん抱えています。それでもなかなかやる気にならないというのは、一歩目が踏み出せないだけであることが多いように思われます。勉強の場合は、「やってもわからないし、難しいから」と、食わず嫌いになっている場合も少なくありません。すぐにわかる問題ばかりではありません。つまづいたら、どうやったらわかるようになるだろうかと、次の行動に移れるかがカギになります。実力が無いことを言い訳にやろうとしないなどというのは本末転倒。実力をつけるためにやるのです。少しずつわかることでステップアップして、徐々に実力をつけていけばよいわけです。わかる問題が増えれば自信が出てきます。

一歩目の行動に移せない人の口ぐせは、「このテレビ番組を見終わったらやる」、「明日から始める」など、行動の先送りばかりです。我が身を振り返ってみても、仕事で時間がかかるのは、仕事そのものよりも、仕事に取りかかるまでの時間のような気がします。何事も重い腰をあげるまでに時間がかかるものです。もちろん物事には始めるタイミングやそれに必要な準備もあるでしょう。しかし、まずはできることから始めることが最優先です。行動を起こして一歩前に進んでみると、そこで初めて見えてくる課題があったり、新しい視点ができたりすることで、次々とことが進んでいくものです。躊躇している場合ではありません。某予備校の先生の台詞ではありませんが、「いつやるの? 今でしょ!」ということなのです。

人の心の中には、ネガティブ(否定的・消極的・悲観的)な感情や考え方と、ポジティブ(肯定的・積極的・楽観的)な感情や考え方があります。感情に関する心理学的研究によれば、ネガティブ感情とポジティブ感情の比率は約7:3とネガティブ感情のほうが多いのだそうです。悲しみや怒りなどのネガティブ感情は,血圧を高めたり,心拍数を増加させ,この状態が続くと生体に悪影響をもたらし,心身症などの疾病に至ることもあるといいます。一方、喜びなどのポジティブ感情は、創造的な思考活動や学習機会を増加させるといったように,人々の思考や行動レパートリーを広げる可能性が指摘されています。また、最近の研究では、笑うことや楽観的なポジティブ感情がナチュラルキラー細胞の増加を促し、免疫力を高め、ガンの再発のリスクを減少させることや、子どもの不登校が改善された例などもあるといいます。『病は気から』といいますが、精神面の健康がいかに大切なのかがわかります。ただ、ネガティブな感情は自己を防衛する際の重要な感情でもあり、物事を慎重に進めたり、丁寧に仕事をしたりする上では不可欠な要素で、必ずしも悪影響だけをおよぼしているわけではありません。上手に付き合っていくことが必要です。

大切なのは、物事に対する捉え方や姿勢をコントロールしていくことです。ポジティブな姿勢を持てるようになるために、今抱えているやらなければならないことに優先順位をつけて、まずは一つ目のアクションを起こしましょう。そこから小さな成功体験を積み重ねることで達成感を得るのです。達成感は自信につながり、あるべき自分の理想像を描きやすくなります。ポジティブな思考はポジティブな現実を引き寄せるといわれています。今まで敬遠していた苦手の教科の学習などは、これまでとは違うアプローチの仕方をしてみるのもいいでしょう。たとえば歴史が不得意な生徒が、自分で年表を作って覚えたり、教科書を繰り返し読んで苦手意識を克服したというような例が過去にはあります。歴史マンガから興味を持てるようになった生徒もいました。またテストなどで、自分にとって良くない結果になったとしても、くよくよ悩まないことです。失敗を糧にしてまだまだやり直しができるのですから。工夫し、努力したことで進歩できたことを自己評価し、また新たな目標へ向けて戦略を立てましょう。一つひとつの挑戦を楽しみたいものです!

小さな黄色い花