西城川下流方向

高校地理の必修化

5月中旬、各中学校・高校では中間考査や教科ごとの単元テストが行われました。特に中学1年生にとっては、初めての体験です。ここでどんな取り組み方をしてどれだけ結果を出せるかが、自分の学習スタイル確立のための第一歩になります。試験前にはこちらからも色々とアドバイスをしたわけですが、中間考査のあった学校の生徒たちの終了後第一声は「社会が全然できなかった~」「社会が本当に難しかったんですよ~」「授業でやってないことまでたくさん出たんです」・・・今回の中1生の社会は地理分野でした。その地理の出題範囲は、社会科の基本となる「地球の姿」「世界のさまざまな国々」「緯度・経度や地球上の位置の表し方」「地球儀やさまざまな地図」「日本の位置や範囲」「各国との時差」などでした。社会や世界に対する関心がまだまだ未熟な小中学生にとって、地理の学習はあまり興味をそそられないというのは、至極当然のことなのかもしれません。

社会科の学習は、小学校では中学年までに身の回りの生活に関することを学習し、全国の都道府県名や位置を覚えます。そして高学年では5年生で日本地理、6年生では日本の歴史と公民を学習します。塾でも5年生の受験クラスで1学期にまず行うのが、都道府県、山地・山脈、河川、平野、盆地、台地、周りの海、海流、主な都市などを覚えることです。一度にはできませんから、地方ごとに分けて小テストを行い、合格点に達しない場合は再テストも行います。生徒によってはとても苦労をするのですが、その後の地理の学習のみならず、歴史・公民などの社会の学習において重要な基盤になります。

たとえば、5年生で「越後平野は水田地帯だ」と学びます。越後平野といえば、日本一長い河川である信濃川の下流域に広がる広大な平野ですが、農業は春から秋にかけて稲作を盛んに行っているだけの地域であるということです。越後山脈や飛騨山脈など中央高地の雪解け水は信濃川や阿賀野川となり、それらがもたらす豊かな水・肥沃な土地と夏の長い日照は稲作に最適です。ブランド米となった魚沼産のコシヒカリに代表されるような美味しい米が作られ、生産量においても全国1位で、文字通り日本一の米どころだといわれます。ところが、冬は田畑が一面雪でおおわれてしまいますから農業などできません。ここで、どうして越後平野には冬に雪が多く降るのかということになります。日本海の沖合では、西から流れてくる暖流の対馬海流が大量の水蒸気を供給します。そこに大陸にあるシベリア気団から冷たい北西風が吹き込むことによって雪雲ができ、大量の雪を降らせるのです。では、この長い冬の間農家の人々は何をしているのだろうか、という疑問がわいてきます。必然的に屋内で仕事をするしかありませんから、冬場の家内工業が発展してきたという歴史があります。小千谷ちぢみ、塩沢つむぎ、十日町がすりなどの着物、漆器や仏壇づくり、三条の刃物、清酒造りなどが栄え、これらは現在のニットセーター、金属洋食器、石油ストーブなどの全国1位の生産量をあげる産業に受け継がれてきました。また、米どころであるだけに、米菓や切り餅に代表される食品産業も新潟県の基幹産業となっています。地下資源では、佐渡島で16世紀より金が採掘され、越後平野で採掘される石油・天然ガスは国内最大量で、海外からの輸入が中心となるまでは、一大供給地でもありました。

歴史では、戦国時代の越後国の武将上杉謙信は、甲斐国(現山梨県)の武田信玄との間で五度にもわたる川中島の戦いを繰り広げるほどに大変忍耐強く、また敵対する武田氏が駿河国(現静岡県)からの食塩供給を断たれたとき、武田氏の領民の苦難を救うべく日本海側から「敵に塩をおくる」という、ことわざにもなるような人道的行動をとった(史実については諸説あります)義理がたい性格であったのも、雪国で長い冬を耐え忍ぶ中で育まれた人間性なのではないかと思われます。

このように、地形、気候、資源などといったさまざまな地理的条件が複合的に影響することで、産業を創り出したり、人を育んだりすることがわかります。「地理」という教科の名前の由来は「地上の理(ことわり)」、つまり地球上の出来事・人間の営みすべてのことを総括して「地理」というのだそうです。そうすると、すべての学問の基盤となる科目であるといえそうです。

社会や理科は『暗記科目』だとよくいわれますが、丸暗記することほど単調で面白くない勉強はありません。地理についていえば、まず基本的な知識を備える必要がありますが、前述のようにさまざまな要素の因果関係を総合的に考えることで、有機的に思考を深めることができ、面白味が出てきます。

さて、この地理という教科が2022年度より高校で必修化されます。この背景には、深刻化する地球環境問題や大規模な自然災害が多発し、それに対応してICT(情報通信技術)を組み込んだ地図や地理情報システム活用の必要性など、地理教育の社会的ニーズが高まってきていることがあげられており、これらの素養はグローバル人材の育成にも不可欠です。こうした背景から誕生する「地理総合」は、『地図と地理情報システムの活用』、『国際理解と国際協力』、『防災と持続可能社会の』の3つの項目で構成されています。社会的事象の地理的な見方・考え方を働かせ、課題を追究したり解決したりする活動を通して、地域の環境条件や地域間の結び付きなどと人間の営みを関連付ける資質を育成することを目標としています。小学校社会科、中学校社会科地理的分野から引き継がれ、一貫性のある地理教育が意図されています。これまで以上に、それぞれの学年に応じた地理の学力を積み上げていく必要があります。

赤い花開花タテ

 

勾玉作りコンテスト

5月の連休明け、『勾玉作りコンテスト』を小6生全員が参加して行いました。材料は4月に野外学習会で訪れたみよし風土記の丘で土産に買ってきた勾玉作りセットです。

勾玉作りセット

四角い石を紙やすりで削って、磨いて、形を整えます。 元は同じような形の材料だったはずですが、出品作品を並べてみると十人十色!

勾玉作りコンテスト

審査をするのも生徒たちです。全員が自分が良い作品だと思うものを3つ選び、3票を投票しました。

その結果、7票を獲得したI Rさんの作品が金賞、5票を獲得したT Sさんの作品が銀賞、4票を獲得したH Tさんの作品が銅賞に輝きました!

それぞれが創意工夫して、個性的で素敵な勾玉を作ってくれました。古代の人々の暮らしにも思いを馳せ、楽しいコンテストになりました。

勾玉金賞