クロッカスノート作り

2月下旬から、各中学校・高校で学年末考査が行われました。試験勉強に勤しむ生徒たちのノートをのぞいてみると、その作り方は十人十色! 色とりどりのマーカーペンを駆使してカラフルに仕上げているノート、教科書の文言を一字一句ていねいに写したノート、覚えたい用語を反復書きつけたノート、学校への提出を義務付けられているために一生懸命にページ数を稼ごうとしたことがありありと分かるノート(苦笑)・・・みんな個性的です。

社会人もノートをとることはしばしばあります。会議では話の内容や経過を書きながら考えを進めます。講演会や勉強会などで人の話を聞くときにはメモをとりますし、資格試験の勉強のためのノート、本を読んで出会った示唆に富んだ内容の備忘録等々、決して学生だけがノートをとるわけではありません。書いたものを読み返すうちに、そのときは意識しなかったような新たな気付きが出てきたり、考えを整理できたりすることもよくあるものです。

ノートはその目的に応じて色々な書き方やまとめ方があるわけですが、共通しているのは、後で見直すために書くのだということです。基本的に見返すのは『未来の自分』であり、時には『他者』である場合もあります。人の頭脳は時間の経過とともに徐々に物事を忘れるようにできているのでノートをとるわけですが、あとから読み返したときに『これは何のことだったかな?』となるのではあまり意味がありません。かといって、ずらずらとすべてを丸写して書いてしまうのでは、書くこと・読むことに労力がかかる上、焦点がぼやけてしまいます。読み返したときに適度にまとまっていてわかりやすいことが求められます。

試験勉強のノート作りの場合、限られた時間の中で学習内容をいかに理解して記憶にとどめることができるかが勝負になります。学習の基本はやはり教科書ですから、教科書の内容を理解するところから試験勉強は始まります。ところが、そこをすっ飛ばして提出物であるワーク類を仕上げることに躍起になる生徒が少なくありません。試験勉強中に質問される内容が、「ほら、教科書のここにちゃんと書いてあるよね」となることが何と多いことか(汗)  まずは教科書をよく読んで理解することが優先されます。次に整理して頭の中にとどめるための作業にノートを役立てます。ノートへの書き方ですが、基本的には箇条書きや図や矢印などを駆使してまとめていきます。教科・科目によっても違いがあるでしょう。理科であれば、重要な実験や化学反応式、仕組みを説明した図などを書きます。地理であれば、各地域の気候・地形・資源などの自然条件と産業を結びつけて考える科目ですから、地域ごとに白地図に覚えたい事柄を書きこむのがおすすめです。歴史は時系列のストーリーとして理解することに面白味があるので、年表を作って流れを理解するのがよいと思われます。ノートにまとめる内容は重要語句や覚えたいことにしぼりますが、教科書の内容がよく理解できていれば、ポイントを見るだけで、書いていないことまで付随してイメージされます。覚えにくい用語や単語、漢字については、何度もノートに書いたり声に出して読んだりして五感をフルに使って覚え込むのもよいでしょう。やたらとこまごまとていねいであったり、色分けばかり手が込んでいたりするノートもありますが、芸術作品を作ることが目的ではありません。要は一目見てポイントがわかりやすいということです。

まとめのノートができて、頭の中が整理できたら、今度は提出課題でもあるワーク類に取りかかります。ちゃんと理解できているかどうかのチェックに活用します。もちろんこれも、やりっ放しではダメです。間違えたりわからなかったりした問題は、答えを隠して反復してやってみる必要があります。重点語句をまとめのノートにさらに書き加えて覚えるのもよいでしょう。

これらのことをやろうとすると、試験勉強を早めにスタートしなければできないかもしれません。もちろん私たちがアドバイスするのは学習法の一例であり、生徒それぞれが試行錯誤の中で自分流の効率的なスタイルを確立してくれればよいわけです。そのような学習で得たものは、その場だけでなく今後繰り返し役立つ真の学力になるでしょう。そしてまた、そのように自分で工夫して行動することは、将来にわたって生きる力になると信じています。

物理授業横