
高校入試に異変
今年の高校入試は大きな変化がありました。国の令和8年度予算は現時点では決定していませんが、「高等学校等就学支援金」が、私立高校生に大幅に拡充されることになったためです。
これまで公立高校の生徒には年額で118,800円が支給されることで、実質的に授業料は無償になっていましたが、私立高校では所得により118,800円~396,000円の支援で、部分的な負担軽減となっていました。
令和8年度の新しい制度では、公立高校でこれまでと同じ118,800円、私立高校では所得条件が撤廃され、全世帯で年間上限457,000円が支給されることになります。その負担は、国が4分の3、都道府県が4分の1を担うことになります。この支援金は、家庭の経済状況にかかわらず、すべての意思のある高校生が安心して教育を受けられるように授業料を支援するもので、返済は不要です。
今春の入試では、まず公立に先立って行われる私立高校入試において、専願での志願者数が急増しました。これまで授業料がハードルとなって積極的に私立高校を第一志望としなかったケースが少なくなかったことから、支援金拡充は私立高校受検への大きな追い風となりました。専願受検者の増加した私立高校では、合否ラインが専願・併願ともに上昇することになり、これまで「すべり止め」として受けていた学校がすべり止めにならないという現象も起こりました。
そして私立の専願受検合格者が公立高校を受検しなくなることで、公立高校の出願者数が減少しました。特に学力的に中低位層の高校での志願者の減少が顕著になりました。一方で上位層の高校では、チャレンジ的な受検生が増え、大変厳しい入試となりました。
福山地区 国公立高校(普通科・総合学科) 近年の受検倍率 (受検者数/定員)
| 令和5年度 | 令和6年度 | 令和7年度 | 令和8年度 | |
| 福山葦陽 普通 | 1.12 (357/320) | 1.18 (376/320) | 1.09 (349/320) | 1.08 (345/320) |
| 大門 普通 | 1.19 (238/200) | 1.05 (209/200) | 1.14 (227/200) | 1.07 (213/200) |
| 福山明王台 普通 | 0.93 (261/280 | 1.06 (298/280) | 1.10 (309/280) | 0.82 (230/280) |
| 神辺旭 普通 | 0.89 (177/200) | 0.79 (157/200) | 0.76 (152/200) | 0.91 (181/200) |
| 福山市立福山 普通 | 1.16 (100/86) | 1.04 (98/94) | 1.15 (106/92) | 1.27 (112/88) |
| 福山誠之館 総合 | 1.11(354/320) | 1.22 (390/320) | 1.11 (355/320) | 1.32 (423/320) |
| 松永 総合 | 0.83 (132/160) | 0.67 (107/160) | 0.63 (101/160 | 0.48 (76/160) |
| 神辺 総合 | 1.06 (212/200) | 1.08 (216/200) | 1.13 (226/200) | 1.09 (217/200) |
| 戸手 総合 | 0.93 (185/200) | 1.16 (232/200) | 1.12 (223/200) | 0.98 (196/200) |
| 広大附属福山 普通 | 3.55 (291/82) | 3.51 (291/83) | 3.09 (247/80) | 3.63 (274/76) |
このような異変というのは、ある程度予想されていたことではありますが、いざ実施されてみると様々な問題が浮き彫りになってきます。
人気のある学校とそうでない学校の差別化が一段と進みそうです。過疎化に悩む中山間地域にある公立高校の多くでは、これまでも少子化の進行によって学校規模の縮小を余儀なくされてきたわけですが、今回の就学支援金拡充により、さらに生徒が都市部へ流出する原因にもなっているように思われます。公的資金の投入が公立学校の統廃合に拍車をかけるというのは、何とも皮肉なお話です。学校の存亡はその地域の繁栄までも左右する大きな問題になりかねません。
また、すべての意思のある高校生が安心して教育を受けられるようになるというのは大変意義あることのように思われますが、本当に教育を求める意思のある生徒ばかりなのかということも懸念されるところです。高等学校は義務教育ではないということもあり、これまでは経済的に困窮する場合に限定して就学支援金は支給されてきました。税の再分配という観点から、子どものいない世帯や高齢者の世帯で不公平感があるのも確かです。大学の補助金が減って研究費不足が懸念されるなど様々な問題が指摘される現在、限られた財源から教育のどこに重点を置いて国のお金が配分されるべきかの議論も必要になるのかもしれません。
何はともあれ高校選択の幅が広がることは受験生にとってありがたいことであり、この制度を利用して学ぶすべての高校生が、充実した高校生活を過ごされることが切に願われます。

新しい季節
つい先日まで生徒たちが毎日すし詰めになって受験勉強に勤しんでいた自習室が、今はひっそりとしています。受験を終えた生徒たちは合格発表をそわそわしながら待っている頃でしょう。もし受験生みんなが合格できるならばみんなハッピーで、この上なく喜ばしいわけですが、実際にはそういうわけにはいきません。第一志望校に合格できる人もいれば、残念ながら不合格になる人も出てきます。
しかしながら、中学や高校、大学に入ることは人生のゴールではありません。意中の学校に入学できたとしても、やるべきことをサボっていれば坂道を転がり落ちるのは簡単です。いい加減に過ごせば残念な未来が待っていることになります。逆に、受験で不本意な結果となってしまっても、進学先で一念発起して頑張っていくことで次のステージを充実させる人は、明るい未来を手に入れることができます。ウサギとカメではありませんが、努力は裏切りません。ただ誤解しないでほしいのは、『今頑張れば将来楽ができる』というのではありません。『今を頑張る人は、将来もっと頑張れる人になれる』ということだと思うのです。
受験学年以外の生徒たちも新しい季節をむかえ、それぞれが希望を胸にしている頃ではないでしょうか。我が塾でも3月から新学年の授業がスタートします。生徒たちの希望に満ちたきらきらした目に接するとき、私たちも身の引き締まる思いがします。『この教科がわかるようになりたい』『好きな科目をさらに得意になりたい』『あの学校に入りたい』『こんな人になりたい』・・・そんな生徒たちの色々な願いがかなうように、全力でサポートしてまいります。









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