
活字中毒
3歳から芸能活動を始め、天才子役として一世を風靡した芦田愛菜さん。大学生となった現在も、映画・ドラマでの女優業に加え、バラエティー番組にCM出演などマルチタレントぶりを発揮しています。そんな芦田さんは他方で大の読書好きとしても知られています。
彼女は2歳の頃から両親にたくさんの本を読み聞かせをしてもらい、3歳でひらがなが読めるようになり、幼稚園に入る頃には自分で絵本を読むようになっていたそうです。「本がない人生なんて考えられない」というくらい本好きの芦田さんは、「本を読むのは歯磨きをしたり、お風呂に入ったりするのと同じぐらい日常のことなんです」といいます。そして本を読んでいないと落ち着かなくなってしまうこともあるようで,あえて仕事場に持ちこまないことや電車で読まないことをマイルールにしているといいますから、まさに『活字中毒』といえるかもしれません。
芦田さんは15歳になったとき、初の著書『まなの本棚』を出版し、それまでに読んだ本の中からお気に入りの本84冊を選んで紹介しました。その本のリストを少しあげてみると、『つなぐ』(辻村深月)、『高瀬舟』(森鴎外)、『魔女の宅急便』(角野栄子)、『怪人二十面相』(江戸川乱歩)、『ハリーポッター』(JKローリング)、『ぼっこちゃん』(星新一)、『バッテリー』(あさのあつこ)、『DIVE!!』(森絵都)、『船を編む』(三浦しをん)、『古事記』、『源氏物語』(紫式部)、『曽根崎心中』(近松門左衛門)、『東海道中膝栗毛』(十返舎一九)、『舞姫』(森鴎外)、『吾輩は猫である』(夏目漱石)、『蜘蛛の糸』(芥川龍之介)、『図書館戦争』(有川浩)、『そして誰もいなくなった』(アガサ・クリスティ)、『小学館図鑑NEO 星と星座』、『花火の図鑑』、『白狐魔記』(斎藤洋)…というように、実に様々なジャンルにわたって幅広く読んでいることがわかります。
彼女はインタビューの中で「本を広げれば自分のいる世界とは違う世界が広がっていて、その本の世界で生きる登場人物たちが色々考えたり、感じたり、行動したり…その体験を読者の私も疑似体験できるところが読書の魅力だと思います」と語っています。
さて、自分の子ども時代を振り返ってみると、子ども向けの図鑑などを楽しむ以外は、あまり本や活字を読まない子でした。親からも『本をあまり読まない子』として認識されていたようです(汗)。小学生の頃仲のいい友だちの一人に、本好きの少年がいました。私などは習っていない漢字に出会うと、当然分からないわけで、「だって習ってないもん」(このセリフは塾生からもよく耳にしますが)という言い訳を堂々としていたものです。ところが、本好きの彼には分かります。「どうして知ってるの?」とたずねると、「何となく」という答え。彼は私たちが知らない漢字や言葉だけでなく、色々なことを知っていました。もちろん彼もどこかで習っていたわけではありません。おそらく本を通して様々な知識を身につけていたのでしょう。ちなみにその本好きの少年はその後、理工系大学を経て、現在は愛知県の某自動車メーカーにお勤めです。
これは身近な例ですが、読書の大切さは色々な点について指摘されています。
・読解力がはぐくまれる。
・語彙力が身につく。
・様々な知識が得られる。
・論理的に物事を考えたり、表現したりする力が育つ。
・物事を粘り強く考える持久力がつく。
・集中力を鍛えることができる。
・リラックス効果があり、ストレスを解消することができる。
・具体的な情景や登場人物の気持ちをイメージすることで、想像力が豊かになる。
・人の立場で物事を考えることができるようになり、客観的な思考ができるようになる。
・自分の世界を広げ、自我を確立できる。
あげればきりがないくらいに読書の効果はあります。
そんな良いことばかりの読書ですが、子どもたちの活字離れは顕著です。読書の楽しさを知っている者からすれば、「何ともったいないことなのだろう!」と思わずにはおれません。私自身は遅ればせながら中学の頃、読書に目覚めました。当時本屋に一歩入ると一種独特の匂いがあり、それだけでわくわくする気持ちをくすぐられていたことが、今でも甘美なものとなって甦ります。
最近、授業中心配になってしまう生徒がいます。問題を解いていて分からなくなると、ピタッと考えることをやめてきょろきょろし、「だって分からないもん」という生徒。答えが間違っていると即座に「じゃあ○○」というように、次々と根拠もなく別の答えをいう生徒。すぐに答えが出てくるような問題は限られています。正解しさえすれば良いわけでもありません。一つずつ手がかりを見つけ、自分の頭で考え、理屈を積み重ねることによって、答えにたどり着けるというところに、勉強の面白さはあるのです。
また、板書をしながら説明していても、別のところに注意が向けられている生徒。活字を読んで考えることと人の話をじっと聞いて考えることは、ある意味同じ行為のように思われます。物事をじっくりと考える習慣が必要です。興味の幅がせまくならないように、様々な方向への興味をはぐくむことも重要です。
ひと昔前とは違い、最近の子どもたちの周りには面白いものがたくさんあります。スマホではYouTube、Instagram、TikTokなどが、聴覚と視覚を通してストレートに脳を刺激します。次から次へと興味がありそうなコンテンツや動画が繰り出されるのは、とても面白くて楽なので、何時間でも視聴し続けることができそうです。しかしこれらは受動的な面が大きく、創造性につながる面は少ないのかもしれません。そのような『スマホ中毒』に陥っているような子どもたちに、活字を楽しませようとするのは、至難の業なのかもしれません。「本を読みなさい」と頭ごなしに言っても、反発するだけで子どもは本を読みません。本が楽しそうに思える環境づくりが大切です。大人が率先してスマホに没頭している姿を見せていているようでは、そんな環境づくりは到底かなわないでしょう。ご家族で一緒に活字を楽しむのはいかがでしょうか。









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