2019桜

巣立ち

今春高校を卒業された男子二人が立ち寄ってくれました。二人は同じ中学の野球部出身で、高校は別でしたが3年生の夏の大会まで、白球を追いかけていました。その一人O君は4月から地元大手企業の関連会社で、社会人としての第一歩をスタートするとのこと。高校野球では高2秋の県大会でベスト8まで勝ち上がり、中国大会にあと一歩届きませんでしたが、エースピッチャーとして強豪校としのぎを削った思い出は、大きな財産になっているようです。

また小学生の頃から通塾されたT君は、国立大の理工系学部に合格され、親元を離れての大学生活に胸を膨らませているようでした。二人は授業中だった中学生の教室に入って、後輩たちに自己紹介。臆することも無く後輩たちに堂々と語り掛ける姿に、成長を感じずにはおれません。

そして別の日顔を見せてくれたTさん。彼女も小学生の頃から高3まで通ってくれました。文系教科は得意だけど理数系教科は苦手ということで、センター対策では随分苦戦されましたが、九州の公立大法学部に見事合格されました。自宅から塾までは約5㎞近くありますが、雨の日も寒い日も一人自転車で通って来られた頑張り屋さんです。これからも持前の意志の強さで道を切り開いていかれるでしょう。

Tさんと仲のよいKさんは、高校3年間吹奏楽部での練習に明け暮れました。体育会系に近い部活ですので体力的にもつらいことも多く、塾に来られなかった時期に理数系教科で随分つまずいていましたが、復帰後はリカバーに努力されました。特に部活を引退後は粘り強く取り組まれ、成績も着実に伸びました。高校入試でも推薦入試で合格された彼女は、最終的に大学も推薦入試での合格となりました。県内の公立大経済学部に早々に進学がきまり、この春はプロ野球のシーズン開幕と同時に、マツダスタジアムでビール売りのアルバイトを始めたとのこと。ビールの売り子というのは、歩合制で体力的にも大変な仕事だと思われますが、お金を稼ぐ楽しさや仕事の厳しさも学んでいることと思います。

小学生の頃から高校途中まで通われたIさんは、関西の公立大合格を報告に来てくれました。彼女の小学生のころは、日々スイミングに明け暮れていました。そんな忙しい中で受験勉強も頑張り、私学の一貫校に進学されました。そして中学時代は公立の生徒たちに混じり、高校受験をする生徒たちの姿を刺激にしながら頑張られました。

また小学生の頃から高3まで通ってくれたM君は、前述Tさんの逆で、理数系教科が得意ですが国語がからきし苦手。センター試験での失敗から第一志望の国立大合格はかないませんでしたが、東京の私大理工系学部に進学を決められました。彼の場合は核になる得意の数学という教科を中心にして、入試教科を攻略し、合格に結びつけました。進学には至りませんでしたが、在京の国立大への合格を果たすなど、入試でしっかりと実力を発揮することができました。

彼らと話をしてみると、みんな高校での学習になにがしか後悔の念を持っているようです。しかし、共通して感じることは、自分の特性をよく理解していて、その特性を生かすことに成功しているということです。また、小学校・中学校・高校とステージが上がるごとに、勉強に対する考え方や姿勢がどんどん伸びていったということです。自分を冷静に見つめることで、どこを強化するか、何を売りにするかという戦略性を持って、自分の進路を考えることは非常に大切です。自分の本当に必要なものは何なのか考えて、自ら獲得していこうとする姿勢がなければ、何事も自分のものにはなりにくいものです。

そしてもう一人、4月より社会人になられるYさんも、大変印象深い生徒でした。小学生の頃から高校卒業まで通塾されていた彼女は、中学生の頃から持病を患って病院に入院されることもありました。必然的に中学・高校と病気の治療と付き合いながらの学校生活です。高校での部活動(吹奏楽部)も制約される中で、周りの理解を仰ぎながら楽しんでいました。そんな経緯の中で彼女が志を持ったのが臨床検査技師でした。彼女のような患者さんの心に寄り添えるような人が、医療に従事されることは、大変喜ばしいことです。私たちが何か病気をした時には今度はお世話になるかもしれません。

十人十色、人はそれぞれ興味の方向性が違っていたり、さまざまな個性を持っていたりします。卒業生たちそれぞれが選んだ道で、自分の特性を生かして活躍されることを願っています。2019ボーリング大会