とにかくやってみる!
子どもの頃、宿題や勉強をしようと思っているところに「宿題はやったの?」などと親に言われて、訳もなくカチンときて、やる気が失せてしまったという経験がある人は少なくないかもしれません。誰しも人から言われて行動を起こすというのは、面白くない場合があるものです。ましてや、思春期・反抗期の子どもからすれば、反発の格好の火種になりかねません。もっとも、すでに自分で宿題を済ませていたり、勉強を思うように進めていたりするような場合には、そんな一言にいちいち過敏に反応する必要はないのですが…(苦笑)
今年の夏は、甲子園で107年ぶりに優勝した慶應義塾高校が話題となりました。監督主導で上意下達となりがちな高校野球の中で、「エンジョイ ベースボール」を標榜し、最高の結果をもたらしました。「髪型自由」「長時間練習無し」など、従来の高校野球らしさとは一線を画す見た目の部分が注目されがちですが、一番の特徴は選手を大人として扱っていることだといいます。森林監督は「監督と選手の間に上下関係はありません。私は選手に対して仲間や同志であるという意識を強く持っていて、いざというときに本音で話せるように普段からきちんとコミュニケーションを図るようにしています。選手一人ひとりが意見や考えを持てるようにするためには、選手をきちんと尊重して、意見や考えを口にできる環境を作っていかなければなりません。」と言います。人は人から言われて行動するのは喜ばしいことではないはずですが、組織の中では指示に従って動いていく方が楽です。その方が責任も自分が負わなくて済みますから。しかしながら、それに慣れてしまうと、いつの間にか自分で思考するのをやめてしまい、指示が無ければ行動できない人間になってしまいます。このチームでは、自由に考えて自分の意見を持って行動することが、それぞれの責任感に結びつき、大きなモチベーションになっているのではないかと考えられます。
先日自習室で勉強している中学3年生たちの様子を見に行くと、「先生、これを見て!」その生徒は手作りの鉢巻きをしているではありませんか。「すごい!良いねぇ!」 普段から頑張る姿を見せてくれていますが、ときに弱気の虫やサボりたい気持ちも顔をのぞかせるのかもしれません。そんなネガティブな気持ちを振り払うための手作り鉢巻きのようです。生徒たちも自らモチベーションを高めようと色々と工夫しているわけです。
受験生たちにとって10月ともなると、気はそぞろです。でも、気持ちばかり焦っているのに行動が伴っていないという生徒も少なからずいます。それは具体的な行動計画がないからでしょう。学校や塾の宿題以外に、自分でやるべきことを決めてどんどん進めなければなりません。受験までの時間から逆算して何をどう攻めていくのかを考えて、短期の行動計画をたてましょう。そして実際にやってみることです。脳科学者の茂木健一郎氏の話によれば、とにかくやってみることで、人間は適応し作業効率が上がって、ドーパミンが出てくるのだそうです。確かに、わかる問題が増えると勉強は楽しくなり、次々と進むようになります。一歩前進することで、見える景色も少しずつ変わってくるものです。勝負はまだまだこれからです!