ナンテン実

入試問題とSDGs

宇宙から見た地球は青く輝き、「水の惑星」とも呼ばれます。地球の表面の約3分の2は水に覆われていて、約14億㎦の水があるといわれています。しかしながら、その大部分は海水であり、淡水はわずか2.5%です。しかもこの淡水の多くは北極や南極の氷や氷河として存在しているため、河川や湖沼などに真水として存在している量は地球全体の0.8%。さらにその大部分が地下水であるため、人々が利用できるのは約0.01%(10万㎦)しかないといいますから驚きです。(国土交通省HP参照)

日本は島国であることから湿潤な気候であり、これまで水不足が心配されることはあまりありませんでしたが、世界的に異常気象が頻発しており、現にここ福山市を流れる芦田川水系の渇水が現在深刻化しており、2月中にも取水制限が始まることが懸念されている状況です。

一昨年の市立福山高校の英語の入試問題で、水資源にまつわる話題が読解問題に取り上げられていました。世界の水使用量は、1950年に1359㎦だったものが45年後の1995年には2.6倍の3572㎦となりました。その内70%は農業用水です。増え続ける人口を支えるためには、大量の水を必要とするのです。試算によれば、2025年には1995年の約1.4倍の水使用が見込まれているとのこと。日本人にとって問題意識の低い水問題ですが、日本の食料自給率はカロリーベースで38%(2019年)に過ぎません。6割以上を輸入に頼っているわけですから、海外の水問題が対岸の火事であるはずがありません。この入試問題ではさらに食品別の生産に必要な水の量の資料などから、牛丼1杯分の食材の生産に必要な水の量や、海外から食料を輸入することで国内生産しないことから必要とされなくなった水、また農業従事者の跡継ぎ問題や日本と海外との関係性にも触れていました。その上で「世界がより良く、誰もがより幸せになるために、あなたは今日からどんなことをしようと思いますか?」という英問英答の問題で締めくくられていました。

近年の入試問題はSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の17の目標に関連したテーマが頻繁に取り上げられています。SDGsは、2030年までに達成すべき、世界共通の目標です。世界のあらゆる格差や経済問題、気候変動など、地球規模の目標であるため、国や自治体や企業が取り組むべきものであるかのような錯覚をしてしまいがちですが、世界中のすべての人々、私たち一人一人に求められている課題です。学校の教科学習にも度々登場するテーマですが、身近にある課題として、「自分にできることは何だろうか」と問いかけ、できることから日常生活の中で取り組んでいくことが大切です。

エンドウ①

 

成長する

受験シーズン真っ只中、受験学年の生徒たちを見ていると、この時期の急成長ぶりに驚かされることが度々あります。12月下旬の冬期講習の始まりの頃に取り組んだ入試過去問の出来栄えと1か月あまり経過した現在を比べてみると、その変化は顕著です。たとえば中3生の国語についていうと、冬期講習の初日は記述式の問題になかなか答えが書けなくて、途方に暮れる生徒も少なくありませんでした。しかし、今では題意を正しくとらえ、本文中の根拠となる部分をちゃんと見つけ出して、正しく記述して答えられるようになってきていて、見違えるほどの姿です。一般的に国語は伸びにくい教科だといわれますが、ポイントをつかむと、飛躍的に自信を持って解けるようになります。そんな姿を目の当たりにして、あらためて子どもたちのたくましさを頼もしく感じずにはおれません。

親心からすれば、「もっと早くにその気になってくれれば良かったのに…」というところかもしれませんが、彼らも段階を踏みながら成長しています。小学生の頃から塾に通ってくれている生徒など、一歩ずつ成長されてきた過程をずっとそばで見てきた私たちは、その成長ぶりを痛切に感じています。

さて、そんな育ち盛りの子どもたちに接している私たちも日々勉強です。「上手くいった」と思うこともあれば、「もっとこうすれば良かった!」と反省することもしばしばです。どちらかといえば、反省することばかりが心に蓄積されます(汗)。子どもたちは一人一人みんな違います。みんなに同じように当てはまることばかりではありません。それぞれの課題に合わせて必要なことを提供することが求められます。

また、地域の教育界の多方面の方々と会って情報交換することも必要です。学校の評価といえば、一面的には、偏差値や大学進学実績が思い浮かぶかもしれませんが、一番大切なのは学校運営をあずかる先生方の姿勢です。どの学校の先生がどんなスタンスで指導をされているのかを知ることは、生徒たちの特性を踏まえてそれぞれにマッチする進路へと導いていく上で、大きな指針となります。毎年開催する「進学情報ゼミ」などは、生徒たちにとって学校の情報を得る大きな機会となりますが、私たちにとっても「今の学校(先生)」を知るチャンスであるわけです。公開授業や授業研究会、意見交換会などにも積極的に足を運ぶようにしています。

そして、公立高校入試直前のこの時期には、恒例の「入試大予言」の「理科・社会講座」と「ラジオ放送」、その他の時期には「誠之館セミナー」などのイベントもあります。これらのイベントを行うためには、まず入試問題の傾向を分析し、その対策を考えていきます。教育ネット21の行事ですから、加盟塾の先生方とも議論しながら、より良い形を作り上げていきます。地元の入試問題に精通していくことは、普段の塾の授業につながることが多く、自塾生に還元できる部分が大いにあります。

今年の「入試大予言講座 理科・社会」とラジオ特別番組「教育ネットの公立高校入試大予言」は下記の日程でそれぞれ開催、放送します。万全の準備をして受験生たちを入試に送り出したいと思います。

☆ ラジオ特別番組「教育ネット21の公立高校入試大予言!」

エフエムふくやま(FM77.7MHz) 2/3(土)17:00~17:43、2/7(水)19:00~19:43放送

☆「入試大予言講座 理科・社会」 

2/12(月祝) 9:00~16:30 まなびの館ローズコム 4階大会議室

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