沖田学習ゼミナーの教育コラム『おんざうぇい』

  • おんざうぇい2026年1月


  • 2026.01.01

  • 2026黄

    スマホと上手く付き合う

    中学生のあるクラスの授業で、前日の就寝時刻をたずねてみると、「0時~1時」との答えが多く返ってきました。「そんなに遅くまで何をしてるの?」とたずねると、それぞれ多少の違いはありますが、多くは「スマホ」で何かをしているようです。「10時~11時に寝る」という理想的な答えもあるわけですが、そのような生徒は残念ながら少数派です。

    そして今度は「じゃあ朝は何時に起きるの?」とたずねてみると、多くは「6時~7時」という常識的な答え。しかし、中には「5時ごろ起きて、ゲームを30分くらいやって、そこからまた寝る」という答えも飛び出してきて、大いに驚かされてしまいました。

    子ども世代の夜更かしの理由は、数十年も昔なら「本(マンガ)を読んでたら、つい時間がたつのも忘れて読んでしまって…」というものや、「ラジオの深夜放送を聞いている」などというようなものでした。時代にかかわらず、ちょっと背伸びをして大人の世界をのぞいてみたいという思春期特有の動機が根底にあるように思われますが、当然のことながら昔は本、マンガ、ラジオといったアナログの媒体ばかりが理由でした。

    保護者懇談で親御さんから「学校から帰ったら、すぐにYouTubeを見るかゲームなんですよ」と、ここぞとばかりに訴えられたことがあります(苦笑)。つい先日も「家ではケータイで遊んでばかりいるので、授業以外の日も塾に自習に来るように言ってやってください」との電話。時の移ろいを感じずにはおれません。

    ニシキギたて

    スマホの長時間利用が問題となるのは、子どもに限ったことではありません。長い時間じっと画面を見つめることで、「眼精疲労」や「ドライアイ」など目に大きな負担を及ぼします。また長時間うつむいた姿勢で操作することによって首に負担がかかり、本来曲がっているはずの首の骨がまっすぐになってしまう「ストレートネック」や「肩こり」、「巻き肩」、「手指の痛みや変形」を引き起こす場合もあります。そして「情報処理機能の低下」や「集中力・判断力・意欲の低下」など脳への悪影響も指摘されています。スマホ依存には様々なリスクがあり、現代社会の大きな課題となっているといえます。

    このような状況に愛知県豊明市では、全市民を対象に仕事や勉強を除いた余暇でのスマホの利用時間を1日2時間以内にするように促す条例をつくり、10月に施行しました。この条例は、スマホやタブレット端末の適正使用を促すことが目的で、罰則や強制力はありません。子どもの使用については、小学生以下は午後9時まで、中学生以上は午後10時までを目安として、家庭ごとにルールをつくるように促す内容も盛り込まれています。条例化のきっかけは、不登校の子どもがスマホの過剰利用で昼夜逆転の生活になっているとの報告でした。強制力はないにしても、家庭単位で考えるガイドラインとなるはずで、その意義は大きいと思われます。大人にとっても自らの生活を見つめ直す好機になるでしょう。

    このような流れは世界中で始まっています。オーストラリアでは12月、16歳未満のソーシャルメディアの利用を禁止する法律が世界で初めて施行されました。禁止対象となったプラットフォームは、Instagram、X、YouTube、TikTok、Facebook、Threadsなど10社です。運営企業側に違反があった場合は、日本円換算(2025年12月末時点)で約51億円あまりの罰金が科せられる可能性があります。

    このような法規制がオーストラリアで始まる背景となったのは、SNSを通じて悪質ないじめや性的虐待を受けている子どもがいるという状況が報告されたことです。中には自殺に追い込まれた例もあるそうです。一般的にスマホの長時間利用は、前述のような影響以外にも睡眠障害、うつ病、不安症なども誘発するといわれています。同国では10歳~14歳の少女の自傷行為による入院が2024年までの10年間で4倍以上になり、10歳~14歳の摂食障害が2024年までの12年間で3倍になったと報告されています。

    同国のアルバニージー首相はこの法律を「世界をリードするものであり、子どもを子どもらしくさせるためのものである」と言い、また「親には、子どもとこうしたことを話し合えるようにするためのものである」と述べました。

    オーストラリアのSNS利用規制が世界中から注目される中、複数の国が自国での禁止措置を検討し始めています。ニュージーランドやマレーシアは16歳未満の利用禁止を検討中です。デンマークは15歳未満のSNS利用を禁止する方針を発表。ただし、13~14歳の子どもを持つ親は一定の条件でサービス利用を許可する権限を持ちます。フランスは既に15歳未満のSNS利用に親の同意を求めるよう企業に義務付けていますが、現在、15歳未満の利用を完全に禁止することが検討されています。ノルウェーもSNS利用の最低年齢を13歳から15歳に引き上げることを検討しているといいます。

    「スマート・フォン」はそのネーミングの通り、賢く便利で人間の生活を豊かにしてくれる文明の利器であるはずです。しかしながら、インターネットとつながるSNSなどの利用によって、個人情報流出、プライバシー侵害、ネット炎上、フェイクニュース拡散、誹謗中傷、SNS依存症、アカウント乗っ取り、詐欺やトラブル…など様々な危険性が生まれてきます。これらの問題は匿名性や拡散性の高さに起因するところが大きいと考えられます。利用する場合は、悪意を持って近づいてくる他者がネットの世界にはたくさんいるということを、まず肝に銘じておく必要があります。また自分が発信するときは、受け取る側がどのように感じるかをよく考える必要があります。SNSは双方向のコミュニケーション・ツールであるわけですが、直接会って会話するのとは違い、相手の表情や感情をリアルに感じることが難しい場面が多く、いつの間にか他者を傷つけてしまう可能性もあるものなのです。そのような特性を理解した上で、適度に正しく利用しなければなりません。私たちの生活が豊かで幸せなものになるよう、上手く付き合いたいものです。

    ピンク一輪よこ


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