指導英単語数 3000語から5000語へ

文部科学大臣の諮問機関である中央教育審議会では、2018年~2020年度に小中高校で順次実施される新学習指導要領の下で、高校までに指導する英語の語彙数を現在の3千語程度から4千~5千語に増やすこととしました。また、高校英語の科目について、中学との接続を円滑にし、文法中心の学習から脱して発信能力育成に重点を移すために、現行の7科目から6科目へと改編することとしました。これは昨年6月に文科省が発表した「英語力向上推進プラン」を具体化する中で打ち出されたもので、英語教育の変化はグローバル化に対応した教育改革の大きな柱となります。

小学校でこれまで行われてきた外国語活動は「英語に親しむ」というコンセプトから、英単語や英文を書くこと、書いてある英文を読むことを避け、簡単な会話などについてALTの先生のことばをリピートしたり、英語の歌やゲームを楽しんだりするなど、いわば「英語を使って遊ぶ」ことからスタートしました。これが中学からの教科学習としての英語とのギャップから、逆に英語嫌いを生む原因となったり、学校外での習い事を含め積極的に学習している子とそうでない子との格差につながっているとの指摘もありました。現在では、徐々に文法要素を取り入れたり、英単語のつづりに興味を持たせたりするなど、中学への橋渡しとなるように色々な工夫が取り入れられつつあります。

そして新しい学習指導要領では、2018年から外国語活動(週1コマ)を小学3、4年生に引き下げ、小学5、6年生では教科化(週2コマ)して成績をつけることになります。おのずと中学入試も変わることでしょう。

小学校での英語教科化が実施されると、中学、高校ではさらに学習レベルの向上を目指すことになります。文科省が2014年に行った「英語教育実施状況調査」によれば、中学3年生で「英検3級以上及びそれに相当する英語力を有する生徒の割合」は34.7%、また高校3年生において「英検準2級以上及びそれに相当する英語力を有する生徒の割合」は31.9%というのが現状です。文科省は英語力向上推進プランの中で、これら両方の数値目標を2017年までは50%、2022年までの5年間は60%、そしてその後の5年間は70%として改革を推進します。キーワードは「英語4技能」です。「読む」「書く」「聞く」「話す」という4技能をバランスよく身につけることで、コミュニケーション能力習得を図ります。2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催も、英語やグローバル化に関する国民的意識改革に一役買ってくれることを目論んでいます。指導内容だけでなく指導する側の改革も図り、英語教育は確実に大きく変貌していきます。

 

さて、我が塾の中3生は例年この時期に、「英単熟語トレーニングジム(教育ネット21主催)」に参加します。このイベントは、広島県公立高校入試15年分から抽出した400の英単語と100熟語を、暗記タイムとテストを繰り返して覚えていくというものです。英単語を覚えるということをおろそかにしてきた人にとっては、難しく苦痛なことかもしれません。しかし、一人ではありません。周りの仲間も一緒に真剣に頑張ります。苦労する中で体得した「覚え方のコツ」や「物事をやり通す持久力」は、今後の学習への大きな財産となるはずです。まずは半年後に迫った入試へ向けての基盤づくりに、そして前述のように今後飛躍的に増える英単熟語を着実に身につけていく態勢づくりに役立ててほしいと考えています。

ajisai