普通
6月は中旬以降に、多くの中学・高校で一学期の期末考査が行われました。中1生にとっては初めての定期考査。習っている教科すべてのテストを集中的に受けるというのはもちろん今まではなかったことです。試験勉強の方法については授業の中で伝えていましたが、それぞれ納得のいく準備ができたでしょうか。テストの結果(得点)については報告していただく予定ですが、満足できる結果になったかどうか、私たちもドキドキしています。高1生にとっても高校生として初めての試験でしたが、学習内容が一気に難しくなり、進度も速く感じるなど戸惑う面が多々あったのではないかと思われます。教科担当の先生によっても出題の傾向や特徴に違いがあります。色々な要素に慣れなくてはなりませんが、それぞれが試行錯誤する中で、自分自身にマッチした学習スタイルを確立することが重要です。
そんな試験中のある日、ある学年の生徒にその日に受けたテストの出来栄えについて感想をたずねてみると、「微妙!」「んっ?」 また別の生徒にたずねてみると「普通!」との返事。「えっ?『普通』ってどういう意味?」思わずたずね返してしまいます。
これらの言葉について岩波国語辞典で意味を調べてみると、「びみょう【微妙】:細かい所に重要な意味・味が含まれていて簡単には言い表せない様子。」 「ふつう【普通】いつ・どこにでもあるような、ありふれたものであること。他と特に異なる性質を持ってはいないさま。⇔ 特別」とあります。というわけで、「微妙」という答えも「普通」という答えも、何一つ具体的な答えにはなっていないような気がします。ただ、本人からすれば会心の出来だったとは言い難いということは伝わってきます(苦笑)。
さて、この「普通」という言葉、日々の生活の中でよく耳にします。自分自身もつい口走ってしまうことが多いように思います。でも、あらためてこの言葉の意味を考えてみると、色々と考えさせられます。
元来日本人というのは曖昧さを重宝にする民族性があるようです。様々な場面で、事実や考えをはっきりとストレートに伝えることを避け、相手にぼんやりとイメージさせることで、他人との摩擦を緩和させたいという意図が無意識のうちに働いてしまうのでしょうか。
その昔「普通の女の子に戻りたい!」と言って、突然の解散宣言をして芸能界を引退したアイドルグループがありましたが、「普通」という言葉は、人に向けて使われることもあります。「普通の会社員」「普通の小学生」…前述のような辞書の意味からすれば、「どこにでもいるような~」、「ごくありふれた~」というような意味だと考えられますが、では「普通」であることの基準は何だろうか? と今一度考えてみますが、よくわかりません。「普通これくらいはできるでしょ」「普通のことを普通にしなさい」などと言われるわけですが、「これくらいのことは当たり前にできるべきだ」という枠に人をはめ込むために、「普通」が利用されるケースが多いような気がします。生徒たちも言います。「先生、普通そんなことしないよ」これはしたくないことから逃れたいときの用法です(笑)。

そもそも人は生まれながらに十人十色、百人百様、千差万別であるというのは言うまでもないこと。それを個人的なものさしで、場合によっては個人的な都合で「普通」か「普通ではない」のかを決めているのではないでしょうか。人の言う「普通」の基準に振り回される必要はないわけです。そのような意味でさまざまな「普通」があってもよさそうです。
子どもたちにしばしば話すのは、「自分としての普通」をどこに置くかが大切であるということです。学校から帰ってきたらすぐにゲームに熱中するのが普通になるのか、宿題を片付けるのが普通になるのか。ひまができたらケータイでネットサーフィンやSNSに没頭するのが普通になるのか、読書に夢中になって様々な世界に興味を広げるのが普通になるのか。部活でへとへとになって帰宅して、バタンキューで寝てしまうのが普通になるのか、疲れていても踏ん張って明日の授業の準備をするのが普通になるのか。成績が悪かったのを「だってあの先生の授業面白くないし、クラスが騒がしいから」と責任転嫁するのが普通になるのか、「もっと早めに計画的に準備すればよかった」と原因を自分の行動に求めるのが普通になるのか。試験で8割を目指す勉強して60点を取って「まぁこんなものかなぁ」と満足してしまうのが普通になるのか、満点目指して綿密に勉強して90点を取り「もう少しで100点だったのに」と悔しがって「次こそは100点を取るぞ!」と奮起するのが普通になるのか。各々の考え方や姿勢、日々の過ごし方によって「自分としての普通」は大きく違ってくるでしょう。そしてみなさんの将来はそのそれぞれの「普通」の先に広がっています。さて、生徒のみなさんはどんな「自分としての普通」を選ぶでしょうか。









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