
運が良い
家電メーカーのパナソニックを一代で築いた『経営の神様』とも呼ばれる松下幸之助氏は、社員の採用試験の面接の最後に「あなたは運が良いですか?」とたずねていたそうです。そこで「運が悪いです」と答えた人は、どんなに学歴が良くても落とし、逆に「運が良いです」と答えた人は採用していたとのこと。
ものの本によれば、自分のことを「運が良い」と言える人には次のような特徴があるといいます。
・自分自身の努力だけでここまで来たという思い上がりがなく、謙虚である。
・人に恵まれてきたという自覚があるので、恩返しをしなければならないという使命感を持っている。
・他人に与えた厚意は、巡り巡って自分に返ってくることを知っているので、積極的に他者を助ける。
・失敗しても過度に落ち込まず、次の行動に移ることができる。
・失敗したとき、責任を人に押し付けることがない。
逆に、「自分は運が悪い」と思っている人の特徴は
・自分は努力しているのに、運が悪いので評価されず、成功できないという不満や恨みを抱えている。
・成功した人をねたみ、失敗者を責める。
・成功したときは自分の力だけで勝ち取ったことのようにとらえ、自分の力にうぬぼれてしまう。
・失敗したときは、その原因を自分以外のものに求めてしまう。
確かに成功者の口からは「運が良かった」という言葉がしばしば聞かれます。現在福山在住で、かつてプロ野球で投手として活躍された方がいらっしゃいます。経歴を聞くと順風満帆に人生を歩まれたわけではないことがわかります。無名の高校を卒業後、東都大学リーグの名門に入学されましたが、練習の厳しさから友人の一人が寮を飛び出し帰郷します。その友人を戻ってくるように説得に行った彼は、逆にさとされて自分も大学を中退してしまいます。そのまま東京で草野球の助っ人をするなどアルバイトをしながら気ままに生活をしていると、高校時代の監督から連絡があり、勧められるままに実業団チームのテストを受けると合格。そこでめきめきと頭角を現し、都市対抗野球での活躍もあり、ドラフト1位で南海ホークスに入団。3年目には18勝をあげてパ・リーグ最多勝に輝き、12年間のプロ生活で5度の2ケタ勝利を挙げるなどの実績を残されました。そんな彼は「自分は運だけで生きてきましたから」とさらりとおっしゃいます。確かに運も良かったのかもしれませんが、実力なしで通用するような甘い世界ではありません。地道な努力に基づく本物の力が備わっていたことは明らかです。
ビル・ゲイツ氏、ウォーレン・バフェット氏、イーロン・マスク氏・孫正義氏…世界の成功者たちはみんな口をそろえて「自分は運が良かった」と言います。しかしながら、何もせずにいるところに突然幸運が転がり込んで来たわけではないはずです。一歩ずつ努力を積み重ねて準備してきた中で、情報をとらえる感覚を研ぎ澄ましていたからこそ、自らチャンスを逃さずにつかみ取ることができたということなのでしょう。そのような意味で「運が良い」というのは、単に「偶然に幸運が訪れた」というのとはまったく違っています。

では、自らチャンスをつかめるような運を引き寄せるには、どのように行動すればよいのでしょうか。一般論ではなく、これから人生を切り開いていく成長期である生徒のみなさんは、どんな心構えで日々を過ごすべきなのでしょうか。
・まずは行動に移す
授業中しばしば見かける光景ですが、少し難しい問題に出会ったとき、鉛筆を持ったままじっと考えているだけの生徒がいます。当然のことながら、何もせずに頭の中に完全な答えが浮かぶような問題は、ごく限られています。算数や数学などの文章問題では、与えられた情報を書き出して整理してみることが有効です。それは表でも図でも箇条書きでもいいのです。書き出してみると考えが次の段階に進みます。計算式など考えたプロセスを残していくことも大切です。すると答えに至る道筋が少しずつ見えてきます。そのような問題では、あれこれと試行錯誤をしたり、考えを積み重ねることで論理的に思考する力をはかろうとしています。
何か新しいことに取り組もうとするときもそうです。やれば良いことはわかっているのだけれど、なかなか実行に移せなかったり、「だめだったらどうしよう」とネガティブな考えが先行したりするのでは、何も始まりません。「やればできる」と信じて、まずは行動に移してみることです。一歩踏み出してみると、上手くいくこともあれば改善すべき点も見えてきますから、必要に応じて修正しながら進めていきます。最終的に失敗だったとしても、そこから学ぶことがたくさんあります。むしろ失敗を成功へのプロセスの一部としてとらえ、何度でもトライしてみればいいのです。行動を起こすことが幸運を呼び寄せるための第一歩になるのです。
・継続する
野球選手のイチロー氏は「小さなことを重ねることが とんでもないところに行く ただひとつの道」だと言いました。昔から『継続は力なり』といわれます。それは何事も辛抱強く続けていくことが難しいことから生まれた言葉なのでしょう。「良いことを思いついた」と思い立って始めても、しばらくするとその時の気持ちを忘れて飽きてしまい、いつの間にか尻切れトンボになってしまうというようなことはよくある話です。
生徒のみなさんならば、どんなことを続けようと思いますか? たとえば「毎日英単語を5語ずつ覚える」ことにします。英単語5つくらいならば軽いことのように思われます。しかしこれを継続すれば、1年後には1,825語、3年後には5,475語にもなります。一般的に大学入試に必要な英単語数は約6,000語程度だといわれますから、高校生が入学時からこれを続けるならば、中学までに覚えた英単語と合わせ必要な語彙力を十分カバーできることになります。そんなコツコツと続けて蓄えた準備が、運を呼び込んでくれるならば、やらない手はありません。あなたはどんなとんでもないところへ行ってみようと思いますか。









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